大神の最終戦には全てのエンタメが見本にすべき熱さが詰まってる
2024/12/17
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今さらなんですが、未だ語り継がれる伝説の大神最終戦について語ります。
筆者は初代PS2版の頃に遊び、「まあ普通かな…」という評価だったんですが、ラストだけはエンタメ史上に残る出来だと思ったのを記憶しています。
最近リマスターされているのを見て、あのラスボス戦の熱さを思い出したので語ってみます。いうまでもなくネタバレ全開です。
ゲーム評価自体を大幅に上方修正させるレベルの最終戦
ゲーム自体はぶっちゃけ凡作
大神というゲームは犬型の主人公アマテラスを操作するアクションゲームです。ゲームプレイは全体的に「ぬるめのゼルダ」といった感じ。
個人的にはすごく微妙なゲームプレイだった。というのを覚えています。
和風な世界観、独特なアートワーク、キャラデザなど。ビジュアル面には個性があって、そこはとても好きです。筆調べも他にないシステムで、ユニークでした。
キャラクターもいい。
主人公は犬なだけあってかわいいし、どのキャラも頭身ふくめて愛嬌があります。
でも、やはりゲーム全体としてはそんなに突き抜けた面白さはなかったなぁという印象でした。一応最後までプレイしているので退屈とまではいかないくらい。
楽しめた人はすみません。でも個人的には微妙でした。
ゲーム全編の微妙さを覆すような最高の最終戦の流れ
この作品、ネット上だと物凄く評価が高いんです。
全ゲーム音楽から選ぶユーザー投票のランキング上位だったり、何度もリマスターされてるのは人気の証拠です。
正直、大神のゲーム評価は過大評価だと思っています。
今日の大神の高評価の大部分は最終戦によるものじゃないのかと。
ゲームなり漫画なり映画の最終パートって一番ユーザーの印象に残りやすく、その作品の評価を左右しかねない部分です。
これを大神は非常にうまくやってのけた。
それくらい最終戦の出来がいいんですね。
あんなものを見せられてゲームを終えたら、即SNSに「最高かよ」とか書きたくなります。ゲーム内の他の不満全部ぶっ飛ぶくらいの出来なんですよ。
大神を人気作品に押しあげている最大の理由がやはり例の最終戦ではないかと思います。
大神の最終戦がどれくらい良いのか構成を分析してみる
ここからは冷静に要素を分解していきます。
大神ラスボス戦における燃えの構成要素は以下の通り。
- 光を象徴する主人公の対比として、闇を象徴する最強の敵
- 孤立無援、たった一人で挑む
- 今までの能力を奪われピンチになる
- 強大な敵の総大将の前に傷つき倒れる主人公
- 旅で出会った人々が再登場し力を貸してくれる
- 皆の思いの力で主人公復活&覚醒の最強形態
- メインテーマのアレンジBGM(和風)
この元気玉展開よ。
すごいよね。
列挙したら熱くなってきて、またそのシーン見たくなってきた。
動画はっておきます。
うわーやっぱり最高…。
このBGM、演出。
最高の『絶対に負けられない戦い』の一つです。
ラストの常闇ノ皇戦では、これでもかというくらい少年漫画の燃え要素を全部ぶち込んでくる。
そう、大神の最終戦ってまさに少年漫画の文法なんですね。
上記に挙げた要素を一つずつ見ていきましょう。
光を象徴する主人公の対比として、闇を象徴する最強の敵
最後に待ち受けるのがカラクリの元凶たるラスボスです。
「常闇ノ皇」という名前もかっこいい。
なんか左右対称っぽいし。字ヅラがいい。
その姿はまさに異形。
時代にそぐわない無機質な機械です。
象徴するのは「闇」。
「太陽」を象徴するアマテラスにはこれ以上ないほどの対極的存在です。
孤立無援、たった一人で挑む
戦いの直前にそれまでずっと一緒だった相棒のイッスンが離脱しています。
アマテラス自身は表情豊かとはいえ一切しゃべらないので、お喋りなイッスンは本当にムードメーカーな相棒でした。
たった一人で最大の敵に挑まなければならない。孤独と心細さをプレイヤーは感じます。
今までの能力を奪われピンチになる
旅の中で得てきた能力を次々に奪われ、攻撃も効かず、絶望の淵に立たされるプレイヤー。
闇が覆い、能力も奪われ、ただの白い犬状態に。
満身創痍のアマテラス。
しかし一つずつ取り戻していく。これも熱い。
強大な敵の前に傷つき倒れる主人公
やっとのことで敵の全形態を倒したと思ったら、まだ生きていた。
お決まりの勝どきの声が中断されてしまうのも意表をつきます。展開の崩しにプレイヤーは「おっ」となる。
あまりにも圧倒的な力に、絶望へと落とされる展開。しかし…
旅で出会った人々が再登場し力を貸してくれる
道中で出会った人たちは皆、アマテラスに感謝していた。
今度は俺たちが助けてやるぜ!という元気玉展開。
そして旅の相棒、イッスンも登場。
やっぱり口は悪いけど、誰よりもアマテラスのことを信じてくれていた。ずっと一緒にいた彼だからこそ、大一番でやってくれるというギャップ。
ここで流れる「Reset~ありがとうバージョン~」もいい働きをしてくれます。
後述の「太陽は昇る」に隠れがちですが、これも名曲。
今まで旅してきた道、出会った人々の思いがアマテラスを温かく照らします。太陽は人々の心に昇っていたのです。
最高潮に盛り上がる直前のタメの段階。
皆の思いの力で主人公復活&覚醒の最強形態
皆の太陽によって、最盛期…いやそれ以上の力を取り戻すアマテラス。
全身をつつむ燃え盛る日輪は、彼のたぎる生命力を表しています。でかでかと赤く灯る「天」の字こそが、彼を象徴する一字です。
その神々しさはまさしく太陽の神。歴代最強形態に。
メインテーマのアレンジBGM(和風)
ここで満を持して「太陽は昇る」がかかります。
一気に増える楽器数。
多段のメロディ。
勇気と希望を鼓舞する力強い韻。
そして日本人にぶっ刺さりまくる和風テイスト。大和のアイデンティティを刺激する和楽器の音。
最高かよ。
心揺さぶられすぎて昏倒するレベルです。
曲名もこれ以上ないほど象徴的なタイトル。もう当分ヘビロテ確定。
攻略法も粋なんですよね。
それまで序盤でしかあまり使わなかった「照」がキーになる。
光で闇を打ち払う。
こんな負けられない戦いある??
上記のように複数の燃え要素をぶち込むことにより、大神最終戦はゲーム史上でもトップクラスの「負けられない戦い」シチュエーションを実現しています。
筆者も初見時は「こりゃ絶対に負けたくないし初見で打ち勝ちたい」とテンション爆上げしました。
この最終戦さ、作った時開発の人も小躍りしただろうと思うような完成度ですよね。
海外は知らないんですけど、日本人の好きな文脈に極めて高く合致します。
…とここまで書いてたら、体が火照ってきてまたあの最終戦をプレイしたくなってきました。
大神最終戦の唯一のネックはそこに至るまでの道が長いということ。
ああ畜生、いいとも。
あの最終戦をやりたいがためだけに、また長い時間かけて一からプレイし直してやるよ!!
待ってろよアマ公!