
PCで『PowerWash Simulator(パワーウォッシュシミュレーター)』というゲームをプレイしたので感想を語っていきます。
虚無と罪悪感をプレイヤーに抱かせる不思議な作品でした。
高圧洗浄するだけのゲーム
本作は、高圧洗浄をするだけのゲームです。
ゲームの流れとしては、一応ステージ選択制となっていて、汚れた対象物を、ひたすら高圧洗浄マシンで水をかけながら洗っていく。
対象物は車だったり、建物だったり、公園そのものだったりします。
物語やキャラクターとかもなく、無言モブ主人公を操作して淡々と作業をしていく。
洗浄中のBGMはなく、環境音と水の噴射音のみ。
死んだ魚のような目をした清掃業者になって、ひたすら汚れを落としていきます。

ストーリーはほぼありません。清掃業者であるプレイヤーにメールで依頼がくるテイでステージが追加されていきます。
依頼をクリアして金をため、高圧洗浄機をアップグレードしたりします。
頑固な汚れには洗剤を使ったり、ノズルキャップを使い分けたりなど、多少のゲーム性はあります。

ただ基本は脳のリソースをなんも使わない、水を噴射するだけのゲームです。
ゲームというのも違うかもしれない…、タイトルも『シミュレーター』って言ってるし。
形容しがたいゲーム内容
この作品、個人的に評価が難しい。
面白いかといえばそうでもない。でも、つまらないわけでもない。
プチプチを延々と潰す作業のような作品です。

汚れが落ちてくのは気持ちがいいし、達成度とかもわかりやすく表示されるので、未達成エリアを塗りつぶすように延々とやってしまう。
ずっとやれるし、なんならやっていたいけど虚無感がすごい。
汚れを落として残る虚無
対象が一軒家とかになってくると、クリアするまでにワンステージで1時間以上かかるようになってきます。
プレイ後に感じたのは罪悪感。
「ゲーム内で建物を1時間かけてピッカピカにしても、自分の部屋はなにも片付いていない」という当たり前の現実が押し寄せてきます。
RPGとかアクションにしても、ストーリーで感動したり、カタルシスを得て満足したり、なにかしらプレイ後には残るものって、あるじゃないですか。
でもこのゲームはそれがない。ただただ壮大な虚無があるだけ。

プレイ内容が「清掃」という日常行為なので、現実に引き戻されやすいんだと思います。魔法がとけやすいっていうか。
プレイ中に「限られた可処分時間をこれに費やしていいのか?」という疑問が、幾度となく生じました。
夜中の公園を、考え事をしながら歩くように、プレイ中も別のことが頭に浮かんでは消えていく。
なにかアイデアを練ったり、頭を休めたりしたい時に訪れたい夜の公園のような作品でした。
魅力的な虚無に背を向けて
実をいうと、筆者はこのゲームをクリアしていません。アンインストールしてしまいました。
この作品には危険な吸引力があり、その奥に虚無の数百時間が見えたからです。

あの噴射音の中に、不思議と満たされるものは確かに存在しました。
でも、罪悪感にはもう耐えられそうにない。
魅力的な虚無に背を向けて、新しいゲームに出会いにいきます。