遊戯王 最強バトルロイヤル評価レビュー。貧弱なカードプールとUI
2021/12/06
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スイッチで発売された「遊戯王ラッシュデュエル 最強バトルロイヤル!!」をクリアしたので感想を書いていきます。
全体としては、ややネガティブ寄りの評価となります。
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結論:久々の遊戯王ゲームとしては及第点
まず結論から言ってしまうと、
本作は最初の数時間はそれなりに熱狂して遊べます。
肝となるラッシュデュエルはゲーム内で完全に再現されており、デュエル部分はそこそこ整っています。
クソゲーではないと思います。
普通に楽しめる。最初の数時間は。
本作の良いところ
初心者でも一人でラッシュデュエルが始められる
本作では、ラッシュデュエルどころか、カードゲームをまったくやったことがない人でも、丁寧すぎるチュートリアルでルールを一から学ぶことができます。
コロナ禍の今、家で一人でデュエルが始められるのは嬉しいところ。
それなりの完成度があるデュエル部分
デュエル部分は一作目と考えれば、そこそこの完成度があります。
操作性はおおむね快適で、スムーズにデュエルを楽しむことができるはず。ただ問題がないわけではないです(後述)。
キャラクターボイスや演出が豊富
デュエル中のボイスや演出も雰囲気を盛り上げます。
ボイスはバリエーション豊富で、切り札カードや勝ち負けのシチュエーションによっても台詞が細かく用意されています。さらに特定のキャラ同士で掛け合いかなんかもあって楽しい。
特別な一部モンスターには召喚時にムービーが流れます。
どれもなかなか出来がよく、かっこいいです。
これらはもちろん設定でオフにすることも出来、ゲームテンポをあげることが可能です。
本作の良くないところ
黎明期ゆえのカードプールの貧弱さ
本作の致命的な欠点がカードプールの貧弱さです。
ラッシュデュエルが始まったのは2020年。今作は2021年発売なので収録カードは約350種類しかありません。タッグフォースが1万種類以上なのを見ても厳しいと言わざるをえません。
本作はまさにOCGが始まったばかりの原始時代をなぞっているところ。「攻撃力を200アップするだけのフィールド魔法ですらやや強い」といえば、いかにカードプールがしょぼいかが伝わるでしょうか。
各キャラクターは一応それぞれの専用テーマらしきものを持っていますが、いかんせん数が足らなすぎて体をなしていません。その辺のモブも使用カードがかぶりまくり。どのデッキも似たりよったりです。
やっとこさ使い物になるレベルのテーマが遊我の【魔法使い族】とルークの【ドラゴン族】くらいで、実際にこれらが本作最強クラスのデッキです。
大体のテーマが数枚の[主力カード]と[雑魚バニラ]の混成で、サーチャーやリクルーターを導入しないというラッシュデュエルの精神も相まって、戦術はどれも「フィールド魔法でバフして殴る」という域を出ていません。
収録枚数350枚というとそれなりの数に聞こえそうですが、下位互換の雑魚バニラ多数に、《火の粉》といったどうしようもないカードを多く含有しており大半は紙くずです。リアルのカードでもそんな状況が続いているようです。
デッキ編集の不自由さ
本作はメインをクリアするまでデッキ編集が一切行えません。クリアまでは大体10時間程度なのですが、その間は用意されたデッキしか使えません。
この調整は本当に謎で、道中で手に入れた新しいカードで少しずつデッキを強化していくという、TCGゲームにおける楽しみを明らかに殺しています。
またデッキがいじれるようになっても、カード収集には時間がかかります。カードパックの販売価格が高い上、デュエルで得られる金額もわずかなためです。レア出現率も渋すぎる。
上記二点によって、TCGゲームではありえないような不自由さを感じます。
(追記:アプデにより改善された模様)
サービス精神か水増しかわからないいくつかの要素
本作にはいくつかのカスタマイズ要素がありますが、どれもぎこちない出来。
- まったく無意味な称号システム
- 大量のデッキケース
- 大量のプロテクター
- プレイフィールド
- アイコン
- めんどくさい水増しミッション
どれも数だけはたくさんあるのですが、条件がめんどくさい割に大したメリットもありません。
デッキケースのデザインや、プレイフィールドは2種類の絵を組み合わせられたりとサービス精神は感じるのですがやや空転しています。
子供だましのストーリー
ストーリーは投げやり感が否めません。
一つ一つが特に凝った内容もなく、「モブとデュエルを何回か繰り返してボス」という同じ流れの繰り返しです。
ラーメン小僧や巻き寿司少女のキャラクター使い捨て感に、スカスカのステージ。
終盤は無駄に広いだけのマップで、なんの個性もない使い回しのゴーハ兵と3連戦。
対象年齢となる子供なら楽しめたのでしょうか。
本作はマップを歩き回れるのですが、探索要素もないためメリットがほぼありません。
話しかけられるキャラも少なく、モブは使い回し。
私は原作アニメを観ていないんですが、これだったら思い切ってデュエル部分に全リソースを回してほしかったです。
UIは改善の余地が大いにある
本作のUIは痒い所に手が届かなすぎ。モッサリとひっかかるようなキーレスポンスは誰も幸せにしません。
以下のところは改善希望。
- 独特なデッキ編集画面
- カード検索画面へのアクセスが遠い
- 条件指定の並びがおかしい
- 検索条件の初期化がない
- ショップで所持枚数が表示されない
- スクロール全般が不便
- 墓地のデフォルトが古い順
- 使い道のわからないデュエルログ
- 相手ターン中にカードを確認できない
頻繁に使うカードの処理は、特に洗練してほしいところ。
例えば《ダーク・リベレイション》。
墓地のカードを4枚指定するのですが、選ぶたびに十字キーでカーソルを移動させる必要があります。
TFだと同じような効果でももっとスムーズで、選ぶたびにカーソルが自動で右にずれてくれます。指定済みのカードは自動で飛び越えてくれる。最後まで指定し終わると「決定」ボタンに自動でカーソルがいくので、プレイヤーは十字キーに一切触れることなく、ワンボタンで操作を完了することができます。こういった細かいところのユーザビリティを突き詰めてほしい。
デュエルゲーだからこそ、デュエル画面のUIは洗練させてほしい。
デュエル部分のUIは、すでに『タッグフォース』という手本にすべき完成形が存在します。徹底的に参考にしてほしい。開発コストも削減できるしwin-winなはず。
その他気になったところ
あとは箇条書きで。
- ロードが絶妙に長い&多い
- 考え中に相手がボイスでせかしてくる
- CPUの思考があまり良くない
- ジャンケン毎回めんどくさい(オート希望)
ここらへんはデュエル部分が良ければ全然許容範囲です。
新しい遊戯王ゲーの第一歩。ここから積み上げていけるか
いろいろと問題はあるものの、遊戯王ゲーム復興の兆しは感じさせてくれる内容でした。
クソゲーかというとそんなことはなく、単調さを感じ始めるまでは十分に楽しめます。カードプールの貧弱さも世代を経れば解決するはず(続けばですが)。
遊戯王ゲーは出来さえ良ければ特典がクソでもちゃんと評価されます。それはTFという偉大な先駆者が証明しています。ラッシュデュエルの繫栄と共に、二作目以降の改善を期待します。
改善要望はここからコナミに送りましょう。私も送りました。ツイッターで愚痴ってるだけでは次につながりません。
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